はじめに
VRスタートアップカンファレンスが開催されると知ったので、VR関連のビジネスをApitoreとは別口で進めているし、ちょうど都内に出てくる用事もあったので聴講してきた。
講演者は
- Tokyo VR Startups株式会社 取締役 新清士氏
- 株式会社gumi 代表取締役社長 國光宏尚氏
- ブレイクポイント株式会社 若山泰親氏
國光氏の講演メモ
スマホが出た時に変革があった
たくさんのスタートアップが生まれたが、モバイルファーストは生き残り、PCからの延長は全部死んだ。
VR/ARは「目とネットを直接つなぐ」
VR→AR→MRとステージは進んでいく。3年ごとにシフトしていくと予想。
今話題のMagic leapはMRを狙ってる。網膜照射型で、直接眼球に光を投影して像を形成するタイプ。
VRは視覚を再定義する。
ビジネスを考える上で大事な事。
人がやることはVRが普及しようともあまり変わらない。
LINEやるにしてもテキスト書くにしてもショッピングするにしても。
オフィスならどうなる?とりあえず今をVRに置き換えてみると、大きいビジネスが見つかるかも?
HTC VIVEは10万台売れている。
2億越えのソフトは3本、5000万越えは20本。
年末には5倍になる。来年の年末には20倍になる。
つまり、来年の年末で市場は100億くらいになる。
3年後が勝負だと思っている。
ハードが普及してからが勝負。スマホのときもそうだった。
現在のシリコンバレーの投資や買収はハードが主。
VRのコンテンツは現在までに作ったものを流用できない。
360度という体験はVRではじめて出てきた。
よって、コンテンツを簡単に製作できるようなスタートアップが今はブーム。
これからは、コンテンツアプリケーションレイヤーのスタートアップが徐々に増えてくる。
ARはこれからハードを作っていくフェーズ。
3年間隔でシフトしていく。ハード→周辺機器→コンテンツ製作へ。
現在投資を集めているベンチャー
- Jaunt VR
- ディズニーが作るとき、撮影からコンテンツの配信までをワンストップで提供。
- ディズニーから出資を受けている。
- 360カメラ、圧縮ツール、エディッティングツール、配信サイトなどを提供。
- Next VR
上記はVRにまつわるところを一気通貫で全部やってる。
勝ち目がないかというとそういうわけでもない。どこかひとつだけでも注力すれば勝てる可能性がある。
Immersvというベンチャーがある。アドネットワークをやっている。
彼ら曰く、次はモバイルVRがくる。APPが増えて、無料APPが出てくる。するとモバイルVR向けの広告が必要になる。
(どんな会社かはこちらをみるとわかりやすい)
VRオンリー、ARオンリーが勝つ。PCからの移籍はダメ。
VRでしかできないことを探せ!
既存のコンテンツでは映像が粗い。
よくあるのは、ライブの映像を撮ってきた。最初は感動するが、よくみると粗い。
例えば、写ってる映像で周囲にファンがいるけど、別にファンなんて見たくない。
アイドルのライブで任意視点で観れるという売りがあるが、別に固定カメラいくつか設置して、ユーザーにスイッチャーくれれば良い。
3DテレビとVRの違い。
3Dテレビ:立体で見てるだけ。
VR:世界に入れる。
いっそモバイルVRは捨てるのもあり。
VRにはルームスケールが必要。没入感。
モバイルVRもそのうちルームスケールになるとは思う。
トレーニング分野も暑い。
VRで手術の練習。
医療に限らず、自動車にも使える。
苦痛の低減がある。
例えば、VR製作してたら高所恐怖症が解消したという事例がある。
あとは、対人恐怖症の解消にも役立っている。
- 小さい女の子が出ていて、泣いている。
- なぐさめる。
- 逆に小さい女の子役になる。
- 自分がなぐさめたとおりに、VR大人が慰める
- 自己肯定ができるようになる。
VRはソーシャルが本命。
VRじゃなきゃいけないものを見つける。
新氏の講演メモ
自身もVRスタートアッププログラムに応募して、やってみた。
よむネコ
VRで脱出ゲームを作る。
「エニグマスフィア〜透明球の謎」をリリース。2人でプレイできる。
6ヶ月でスタートアップ。超濃い体験。
5名でやった。
立ち上げ時のコンセプトは
- 量産可能
- VRならでは
- ネット上のコミュニケーション
GameJam方式で開発。短いタームでものをつくる。
この方式はゼロから8くらいまではもっていけるが、残りの2(品質、物量)に限界が出てくる。
1月5日から1週間、3名でプロトを作った。
UE4 + Razer Hydraで。
2月末に向けてOcuFesに「炎からの脱出」を出展。
狭い橋 + 業火 で恐怖を演出。
課題がわかった。
- リプレイ性がない(一度クリアしたら終わり)
- 解けない人が続出
- VR酔いがやばい(コントローラだと酔う)
3月末にもデモデイ
HTC VIVEに変更。
メンターからのコメントはボロクソ。
(おもしろいとは言ってもらえたけどボロクソ)
4月は大混乱
自身の執筆活動の締め切りが重なる。
「炎からの脱出」をどう改善すべきかわからなかった。
転機となったのは「リーンスタートアップ」という有名な本。
ユーザーテストをやってみた。友人知人。20名くらい。
結果、「炎からの脱出」はクソゲーだと確認できた。
普段からゲームをやる人は操作に慣れている。
ゲームをやらない人は操作が全然できない。
操作を簡単にするために、いけるところをクリックする方式を採用。
結果、一本橋や炎が全然怖く無くなってしまった。
いっぱい観察して、扉を開ける動作は楽しんでもらえることがわかった。
→破壊をコンテンツにしよう。
6月4日にUEミートアップに出展。
良い反応!
6月29日にデモデイ2
HTC VIVEとOculus Touchを用意。
「普通におもしろい」
Tokyo VR Startupsのメリット
- 支援が手厚い
- コワーキングスペースでの情報交換
- 國光さんのメンタリング
- 若山さんのメンタリング
- 総務系(登記とか給料とか)を代行
- 各種イベント情報
- デモデイの設定
スタートアップは起業とは違う。
スタートアップは急成長を求められている。
よってスタートアップはニッチをねらう。ニッチを独占する。
大企業は遅い。スタートアップの5〜10倍遅い。成功するわけがない。
スタートアップに重要なのは「チーム」「ビジョン」「プロダクト」
チームがとにかく大事。優秀なメンバーがいれば、とにかく製品は出てくる。チームのビジョンが理解できなくても、メンバーが優秀なら任せられる。
若山氏の講演メモ
インキュベーターを14年やってる。
VRスタートアップで成功するには、
- 市場性が明らかになる前に始める
- 失敗を多くしたものが有利
- 大手は市場が確立してからやってくる
- スピード(ピボットを含め)が大事
- コミュニティの中でやる
- 情報が決定的に重要
- 日本でやるならコンテンツ、業務ソリューション、新規研究開発を狙うべき?
- リスクマネーを活用する
- 投資を受けるためには経営者とチームビルディングは極めて重要
- コツコツ一部門でやるのはスピード感が遅い。飛び込む方がいい。
- No.1のビジョンを持つ
- 小さなセグメントでも良いので1番になる
- 情熱
- 事業機会はあまりにも広い
- 好きな気持ちや情熱で誰にも負けない領域にフォーカスする
おわりに
VRスタートアップを自身でも経験した新氏が取締役なので、だいぶ具体的なアドバイスがもらえるだろうなと感じた。インキュベーションのプログラムとしては非常に魅力的。アイデア+技術がある場合は、7月末まで第2回の募集をしているのでチャレンジしてみて良いと思う。5社程度が採択され、5%の株式と引き換えに、500万〜1000万程度の出資が受けられる。完全にシード期むけ。